第9回 脳型人工知能とその応用ミニワークショップ

日時:2019年4月24日(水) 14:00-16:50

14:00-14:10       ATR 脳情報通信総合研究所 BRI室 主幹 内部 英治

14:10-15:10       ATR 脳情報通信総合研究所 BRI室  石原 弘二 研究員

15:10-15:40       休憩

15:40-16:40       東京大学大学院 情報理工学系研究科 准教授/理研AIP  深層学習理論チーム・チームリーダー 鈴木  大慈 先生

16:40-16:50       ATR 脳情報通信総合研究所 DBI室 室長 川鍋 一晃

 


14:10-15:10 ATR 脳情報通信総合研究所 BRI室  石原 弘二 研究員

タイトル:人型ロボットの階層的な全身運動制御

概要:人型ロボットは,過酷な環境や日常生活においてヒトの代わりに作業を行うことが期待されているが,ヒトのような多様な運動や俊敏な運動を生成することは未だ難しい.人型ロボットの持つ多くの自由度に対して制御方策を決定するには,運動計画に多くの計算時間を要するため運動の生成が間に合わない.そのため従来では,自由度を削減したモデルのもとで運動を計画しており,生成可能な運動を著しく制限する原因となっていた.本講演では,この問題に対して我々が開発している最適制御を用いた階層制御手法について紹介する.我々は,まず,人型ロボットの全身のモデルの中から,細かい時間解像度の運動制御を必要とする身体部位を抽出した.全身の運動を粗い時間解像度で計画した後,その抽出した身体部位のみを細かい時間解像度で再計画する階層的な最適化によって,効率の良い運動生成を実現する手法を開発した.階層最適制御を用いることで,ATR油圧駆動人型ロボットCB-iの多様な運動や俊敏な運動を生成可能であることを示すとともに,ヒトのような運動生成能力を持つロボットの実現に向け,取り組むべき課題について議論する.

 

15:40-16:40 東京大学大学院  情報理工学系研究科  准教授/理研AIP  深層学習理論チーム・チームリーダー 鈴木   大慈 先生

タイトル:深層ニューラルネットワークの適応能力:関数空間におけるスパース推定との接点

概要:ReLU活性化関数を用いた深層ニューラルネットワークの学習能力について,特にスパース推定との関係を通して理論解析結果を述べる.深層学習の学習能力の高さは,その基底を対象の関数に合わせて生成するところにあり,それはモデルが非凸であることが本質的に重要である.これはスパース推定による基底選択と共通点が多く,縮小ランク回帰やL0-正則化学習といった,モデルが非凸であるスパース推定と結び付けてその優位性を調べることが可能である.本研究では,そのような視点に基づき,深層学習のBesov空間における近似精度および推定精度を解析する.また,mixed-smoothnessを持ったBesov空間での学習能力も解析する.導出された近似誤差のレートは任意の非適応的関数近似手法よりも良いレートを達成し,推定精度についてもpoly-log(n)オーダーを除いてミニマックス最適レートを達成することを紹介する.このことから,特に非凸性の強い関数クラスにおいて線形推定量よりもミニマックスリスクの意味で優越することが示される.これは,深層ニューラルネットワークが特徴量抽出機として高い適応能力を持つことを示唆している.