第1回 脳型人工知能とその応用ミニワークショップ

日時:2017年3月27日(月) 13:50-17:00

13:50-14:00       理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長  上田 修功 様

14:00-15:00       ATR 脳情報通信総合研究所 BRI室 室長 森本 淳

15:00-16:00       京都大学iPS細胞研究所 教授 井上 治久 先生

16:00-17:00       ATR 脳情報通信総合研究所 DBI室 主幹 川鍋 一晃

 


14:00-15:00       ATR 脳情報通信総合研究所 BRI室 室長 森本 淳

タイトル: ヒューマノイドロボットの運動学習と精神疾患バイオマーカー開発についてここでは、以下の2つのトピックについて紹介する。

1)ヒューマノイドロボットの運動学習
NEDOプロジェクトにおいて展開している、ヒューマノイドロボットの運動学習手法について紹介する。具体的には、計算機能力の飛躍的な向上を背景に近年ロボティクス分野で注目を集めているモデル予測制御法を多自由度システムの実時間制御に応用するためのアプローチについて紹介する。

2)精神疾患バイオマーカーの開発
AMED脳プロBMI技術において展開している、精神疾患バイオマーカーの開発について紹介する。近年、 機能的MRIデータにもとづいて、機械学習を用いたデータ解析により精神疾患の病態を理解し、その治療に役立てようとする研究が大きな注目を集めている。 特に(タスクをおこなわない)安静時の自発脳活動にもとづく精神疾患の判別をデータ駆動でおこなう手法についてはここ数年で多数の研究成果が発表され、臨 床への応用が期待されている。このようなデータからの情報抽出方法を用いた精神疾患へのアプローチを概説するとともに、我々の研究プロジェクトにおける取り組みについて紹介する。

 

15:00-16:00       京都大学iPS細胞研究所 教授 井上 治久 先生

タイトル:iPS細胞を用いた神経疾患研究

20世紀初頭、神経解剖学の権威、Santiago Ramón y Cajal博士によって「成体哺乳類の中枢神経系は損傷を受けると二度と再生しない」というドグマが提唱された。実際に、神経系は他臓器のように生検を行うことは困難である。そのため、これまでは生体に対する画像解析に加えて、剖検標本や疾患モデル動物等を用いた解析が中心的に行われてきた。しかしモデル動物で有効とされた薬剤でもヒトでの有効性があるわけではなかった。

2007年、ヒトの人工性多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell: iPS細胞)が誕生した。患者体細胞から作製されたiPS細胞から、神経細胞に分化誘導することにより、患者の遺伝的背景を保持したままの生きた神経系細胞を大量に解析できるようになった。このブレイクスルーのもとで、神経疾患についても新たな知見が次々と集積しつつある。

本勉強会では、我々の研究結果を含め、iPS細胞を用いた神経疾患研究について、お話をさせていただく。

 

16:00-17:00       ATR 脳情報通信総合研究所 DBI室 主幹 川鍋 一晃

タイトル:高齢者支援のための脳情報解読技術に関する取り組み

AIP の脳情報統合解析チームはNICT委託研究の項目2「認知・感覚運動機能の維持とリハビリテーションシステムの開発」(代表:ATR田中室長)と連携し、 高齢者の「こころ」の健康状態を把握・維持向上するために必要な人工知能技術の開発を目指している。具体的には①EEG-fMRIデータの統合、②異なる 状況のfMRIデータの統合、③ICTと脳データの統合に関する研究を進めているところである。まず、ImPACT等で取得したEEG-fMRI同時計測 データとそのパイロット解析について紹介する。続いて、ウエアラブル・環境センサ情報から利用者の日常生活状態を把握する方法を研究するためにATRの実 環境実験設備(BMIハウス)で実施しているデータ計測や解析について話をする。