第5回 脳型人工知能とその応用ミニワークショップ

日時:2017年9月6日(水) 14:10-16:30

14:10-14:20     ATR 脳情報通信総合研究所 認知機構研究所 副所長 石井 信

14:20-15:20    奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 准教授 松原 崇充 先生

15:20-15:30       休憩

15:30-16:30       京都大学情報学研究科 教授 下平 英寿 先生

 


14:20-15:20       奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 准教授 松原 崇充 先生

タイトル: 強化学習による不定形物操作ロボットへの展開

概要:試行錯誤を通じて最適な行動方策を学習する強化学習は従来、膨大なサンプルデータを要することからその応用範囲は限定的であった。近年、報酬や状態遷移モデルに制約を加えることで、サンプル効率を向上させるいくつかのアプローチが提案され注目されている。本講演では、まず、強化学習の基礎および最近の発展について紹介する。次に、NEDOからの受託研究として実施している、不定形物操作ロボットへの展開について紹介する。布・紙・紐・ゴムなどの不定形物は、外力に応じて形状が多様に変化するため、ロボットによる状態認識や操作計画が困難になる。そこで状態認識の問題へのアプローチとして、我々が提案する生画像や汎用画像特徴を行動方策への入力とする強化学習手法を紹介する。さらに、双腕ロボットによる簡単な布操作タスクへの適用結果を紹介する。最後に、今後取り組むべき課題などについて議論する。

 

15:30-16:30       京都大学情報学研究科 教授 下平 英寿 先生

タイトル: データベクトルのマッチングに関する情報統合の多変量解析とそのマルチモーダル分散表現への応用および研究室におけるその他のとりくみ

概要:多種多様な情報源からのデータベクトルを統合して共通の空間へ射影するための多変量解析として、クロスドメインマッチング相関分析 (CDMCA)を紹介する。これはパターン認識などでも広く使われる正準相関分析を一般化して、任意のドメイン数、任意の次元、任意のベクトル数に適用できるようにしたものである。シンプルコーディングという素朴なアイデアによって実は1ドメインの場合に帰着できる簡単な手法だが、回帰分析、主成分分析など多変量解析を含む方法になっている。グラフ埋め込みやリンク予測との関係、正則化とリサンプリング、ロバスト化、スパース化、尤度の導入、深層学習への組み込みなどついても触れる。また画像検索、自然言語処理などの応用を概観する。このほかに、研究室で取り組んでいる他の研究(マルチスケールブートストラップ法、成長ネットワークの統計解析など)についてすこし触れたい。