3-CurrentVarianceEstimation

階層ベイズ推定による最適逆フィルタ推定

数多く提案されている電流源推定アルゴリズムの中で、観測磁場から電流源分散の空間的なパターンを推定する点がVBMEGの独自性である。そのためには、fMRI実験から得た空間情報を先見情報として使用し、観測データと結合することによって、ベイズ法によって事後分布の最頻値として推定される。この推定した事後分散値とリードフィールド行列を用いることによって、観測磁場から電流源への変換行列が形成される(電流源から磁場への変換行列リードフィールド行列を順フィルタと呼ぶのに対して逆フィルタと呼ぶ)。

bayes_parmについて

電流源分散推定プログラムを動作させるためには、

  • 必要なファイルの設定
  • 各種パラメータの設定

を行う必要があり、それらの値は'bayes_parm'の各フィールドとして設定される。以下に各フィールドの説明と変数型をカテゴリごとに記述する。

基本パラメータ
フィールド名 説明 変数型 備考
brainfile 脳モデルファイル string ‘100009d.brain.mat’
basisfile リードフィールド行列ファイル cell array of string {‘c000157.basis.mat’}
megfile MEGファイル cell array of string {‘c000157.meg.mat’}
bayesfile 結果ファイル(出力) string ‘c000157.bayes.mat’
actfile fMRI強度情報ファイル string ‘100009d.act.mat’
areafile 活動領域ファイル string ‘100009d.area.mat’
act_key fMRI強度情報ID string ‘Retino_LLvsRest_C05'
area_key 活動領域ID string ‘brodmann area 4’
twin_meg 解析用の時間窓 (単位:タイムポイント) 1x2 vector [1 1024]
Tnext 分割時間窓のオンセット(単位:タイムポイント) scalar or 1xn vector 100 or [1 101 201]
Tperiod 分割時間窓の継続期間(単位:タイムポイント) scalar or 1xn vector 100 or [100 100 100]
推定モデルパラメータ

VBMEGでは電流源から観測磁場(MEG)への順モデル(推定モデル)を決める必要がある。推定モデルは観測ノイズ分散の共分散構造や事前電流源分散の共分散構造などいくつかの要因が合わさっているものである。以下で示す複数のフィールドは設定に関連しあっているため、設定にはある程度の知識が必要である。VBMEGではでよく使われるモデルをいくつか登録してあり'estimation_model'というフィールドを設定することによって、その他の関連するフィールドが自動設定される。

フィールド名 説明 変数型 備考
estimation_model 推定モデル integer (1- 6) 1 1,2 : Fixed sensor noise (global+focal) 3,4 : Covariance observation noise (focal) 5,6 : Estimated sensor noise (global + focal)。選んだモデルによって以下のフィールドの値が、自動設定される。
megnoisefile センサノイズ推定用MEGファイル string ‘c000157.meg.mat’
forward_model 電流源分散モデル string 'focal' or‘global+focal'
update_sx 観測ノイズ分散更新フラグ integer ON or OFF
update_v 背景電流源分散更新フラグ integer ON or OFF
noise_model 観測ノイズの共分散構造モデル integer (1,2,3) 1 1.等方分散(単位行列*定数) 2.対角行列, 3.フル共分散構造
twin_global 背景電流源分散の初期値計算用の時間窓 1x2 vector [1 300]
twin_noise 観測ノイズ分散の共分散構造推定用の時間窓 1x2 vector [1 300]
Advanced パラメータ

[]はデフォルト値を表す。

フィールド名 説明 変数型 備考
Ntrain 学習回数 integer [250]
skip 表示、自由エネルギーの計算頻度 integer [10]
a0 活動強度情報から電流源分散への写像値の下限 real value [1]
a0_act 活動強度情報から電流源分散への写像値の上限 real value [1000]
Ta0 活動強度情報から信頼度パラメータへの写像値の下限 real value [0]
Ta0_act 活動強度情報から信頼度パラメータへの写像値の上限 real value [0]
v0 事前背景電流源分散の初期値 real value [0.01]
Tv0 背景電流源分散の信頼度 real value [0]
basisfile_global 背景活動のリードフィールド行列ファイル  string [basis_file] ‘c000157.basis.mat’
area_key_global 背景活動電流の領域 string ['Cortex'] 'Cortex’
Rfilt_global 背景活動電流の空間平滑化半径 real value [0] 0.006
reduce_global 背景活動電流の空間解像度 real value [1] 1 0からの1の値で指定した値に皮質頂点数がダウンサンプリングされる
contr_pr 電流源分散の初期値として1つ前の時間窓の収束値を使うかどうか。 integer [OFF] ON or OFF
temporal_filter 時間方向の平滑化の有無 integer [OFF] ON or OFF
trial_average トライアル平均の有無 integer [OFF] ON or OFF
expand_spatial_filter 空間平滑化フィルターを指定した領域外に拡張するかどうか   integer [ON] ON or OFF area_keyが'Cortex’の時, Rfiltが0の時は無効。
variance_orientation 各ダイポール方向について電流源分散を推定するかどうか integer [OFF] ON or OFF 電流源ダイポール方向を皮質方線方向に固定している時は無効。
reduce 全脳モデルファイルの空間解像度 real value [1] [0 1] reduce = 0.1 なら元の脳モデルの頂点数を空間的に一様に1/10に間引くことに相当。
Rfilt 空間平滑化半径 (mm) real value [0.006] 0.006
cosval 空間平滑化に及ぼす頂点に対する方向制約 real value [-1] [-1 1]
Fdmin 数値計算安定性のため real value [1e-50]
a_min 数値計算安定性のため real value [1e-6]
a_max 数値計算安定性のため real value [1e6]
noise_reg noise_model = 3の時に観測ノイズ分散の正定性を保証するための正規化パラメータ real value [0.1]

プログラムの実行方法