Brain Science & Eye Movement

saccade

視覚世界の探索という目的のために、非常に早くて正確な眼球運動の発達は不可欠であった。サッケードは、ヒトで600度/秒、サルで900度/秒という高速を実現した眼球運動である。サッケードは、感覚フィードバックによって運動を修正することはほとんど不可能であるため、バリスティック(途中で制御不能)な運動に分類される。

サッケードの発現は、上丘からの命令に従って行なわれる。上丘には、網膜からの直接入力に加え、大脳皮質の視覚野、前頭眼野(FEF)、補足眼野(SEF)、頭頂連合野の外側頭頂間溝の領域(LIP)、さらに大脳基底核の黒質網様部からの入力を受ける。このように上丘には数多くの入力が収束づる。大脳基底核は、的確な眼球運動発現のためにどの情報を選択するかという重要な役割を果たしている。また、小脳を損傷すると、サッケードに異常が起こる。たとえば、小脳片葉、傍片葉の障害が起きると、サッケード後の眼球の位置を保つことができず、中心位置に戻ってしまう(Robinson 1974)。その他、室頂核、半球部、中位核、歯状核などの関連も指摘されている。

Robinson DA, Brain Res. 71: 195-207, 1974