人材募集

研究員の募集

2022年1月27日

ATR脳情報通信総合研究所・数理知能研究室(室長:田中沙織)では、3つのテーマで研究員を募集しております。

■研究内容

テーマ1:脳波を用いた注意の研究

当研究室では、注意状態へのメタ認知の脳情報基盤解明を目指し、注意状態を評価できる課題の開発や、EEGやfMRIによる脳活動の他、心拍等の生体データも用いて意識下の脳情報の取得を行う研究を行っています。これらのデータや、これまで当研究室で開発した、EEG を用いた注意散漫状態の情報取得技術を元に(参照論文1)、注意状態へのメタ認知トレーニング技術の開発を進めております。脳波を用いた人の注意機能に興味のある方、生体データからの注意状態の推定に興味のある方の参入をお待ちしております。

参考論文:

1. Kawashima I, Kumano H. Prediction of Mind-Wandering with Electroencephalogram and Non-linear Regression Modeling. Front Hum Neurosci. 11, 365, 2017. doi:10.3389/fnhum.2017.00365

 

テーマ2:大規模・多変量データ解析

当研究室では、様々な個人特性を持った大規模・多変量のデータ(脳イメージングデータ、生体データ、臨床評価尺度、アンケート、認知課題)の解析を行っています。これらの大規模データから、思春期や老年期といった大きな行動の変遷が起こる時期に特有の現象を、脳を含めた多モダリティデータから解明することを目指しています。それによって将来的に、この時期特有の問題の解決につなげたいと考えています。その取り組みの一つに、思春期の子供とその親の大規模脳データに機械学習の手法を適用した研究があります (参照論文2)。当研究室は複数の大規模脳・行動データベース(健常者、患者、高齢者)を保有している他、共同研究により思春期コホートデータにもアクセス可能です。発達や加齢の脳のメカニズムの解明に興味のある方、脳の知識がなくても、大規模・多変量データの解析に興味のある方、他分野での解析の枠組みを脳データに適用することに興味のある方の参入をお待ちしております。

参考論文:

2. Takagi Y, Okada Y, Ando S, Yahata N, Morita K, Koshiyama D, Kawakami S, Sawada K, Koike S, Endo K, Yamasaki S, Nishida A, Kasai K, Tanaka SC. Intergenerational transmission of the patterns of functional and structural brain networks. iScience 24(7), 102708, 2021. https://doi.org/10.1016/j.isci.2021.102708

3. Takagi Y, Hirayama JI, Tanaka SC. State-unspecific patterns of whole-brain functional connectivity from resting and multiple task states predict stable individual traits. Neuroimage 201, 116036, 2019. doi:10.1016/j.neuroimage.2019.116036

 

テーマ3:ヒトの意思決定の脳機構解明

当研究室では、ヒトの意思決定の脳機構解明に向けた研究を行なっております。動物の行動学習の数理モデルの候補である強化学習のアルゴリズムが脳の中でどう実装されているかを、ヒトを用いたfMRI実験を用いて明らかにしてきました。その成果として、時間割引の脳内機構(参照論文4-6)に関する基礎的な成果を出してきました。近年では、時間割引のdysfunctionとしての問題行動という視点から、強迫性障害のメカニズム解明を目指した研究や(参照論文7)、思春期や老年期の行動の動因となる脳機構の解明を目指した研究といった、より社会への還元を見据えた方向へと発展させています。学習や意思決定の数理モデルや脳機構の解明に興味のある方、方法論としてのニューロエコノミクス(神経経済学)に興味のある方の参入をお待ちしております。

参考論文:

4. Tanaka SC, Doya K, Okada G, Ueda K, Okamoto Y, Yamawaki S. Prediction of immediate and future rewards differentially recruits cortico-basal ganglia loops. Nature Neuroscience 7(8). 887-893, 2004. doi:10.1038/nn1279

5. Tanaka SC, Schweighofer N, Asahi S, Shishida K, Okamoto Y, Yamawaki S, Doya K. Serotonin Differentially Regulates Short- and Long-Term Prediction of Rewards in the Ventral and Dorsal Striatum. PLoS ONE 2(12), e1333, 2007. doi:10.1371/journal.pone.0001333

6. Tanaka SC, Shishida K, Schweighofer N, Okamoto Y, Yamawaki S, Doya K. Serotonin affects association of aversive outcomes to past actions. The Journal of Neuroscience 29(50), 15669-74, 2009. doi:10.1523/JNEUROSCI.2799-09.2009

7. Sakai Y, Sakai Y, Abe Y, Narumoto J, Tanaka SC. Memory Trace Imbalance in Reinforcement and Punishment Systems Can Reinforce Implicit Choices Leading to Obsessive-Compulsive Behavior. bioRxiv08.07.241588, 2021. https://doi.org/10.1101/2020.08.07.241588

 

■応募資格

テーマ1:

  • 心理学的研究(実験実施と心理統計的な解析)を遂行できる方
  • 脳機能計測、計算神経科学、機械学習を用いた研究に興味を持っている方
  • Python、R、MATLABなどのプログラミングに慣れているとなお望ましい
  • fMRIや脳波を用いた脳計測実験およびデータ解析を遂行できるとなお望ましい
  • 博士号取得者(取得見込を含む)または同等の研究実績

テーマ2:

  • 脳画像データおよび行動データの統計的データ解析を遂行できる方
  • Python、R、MATLABなどのプログラミングに慣れていることが望ましい
  • 博士号取得者(取得見込を含む)または同等の研究実績

テーマ3:

  • fMRIや脳波を用いた脳計測実験およびデータ解析を遂行できる方
  • 脳機能計測、計算神経科学、機械学習などのバックグラウンドがあることが望ましい
  • Python、R、MATLABなどのプログラミングに慣れていることが望ましい
  • 博士号取得者(取得見込を含む)または同等の研究実績

 

■募集人員

研究員 各テーマ若干名

 

■勤務条件・待遇等

職種 : 専任研究員

雇用形態 : 契約、常勤、単年度契約:従事する研究開発プロジェクトの状況、および業績・成果等に応じて年度ごとに契約を更改し、処遇見直しや契約更新の可否判断を行います

給与・待遇 : 月額,会社基準による(経験、能力、実績を勘案)

通勤手当、住宅手当、各種社会保険の適用あり

有給休暇(規程日数を付与)、慶弔特別休暇、該当者には社宅制度あり

勤務時間 :1日 7時間30分  標準労働時間 9:00〜17:30

フレックスタイム制、コアタイムあり

完全週休二日制(土・日)、祝日、夏季休暇、年末年始休暇、創立記念休暇

勤務地 : 京都府相楽郡精華町光台2-2-2 株式会社国際電気通信基礎技術研究所内

 

■障がい者の方への配慮事項

設備:駐車場、多目的トイレ、玄関スロープ、 エレベータ(障がい者対応)、休憩室

自動車通勤可能

通勤時間・通院配慮可能(※フレックスタイム制度の範囲内で対応可能かご相談下さい)

車椅子への配慮

パソコンの環境設定

電話対応なし

残業ゼロ配慮

業務スピード配慮

 

その他、配慮が必要な事項について、別途ご相談ください。

 

■応募書類

次の5点を郵送または電子メールにて下記書類提出先までご送付ください。

  1. 履歴書
  2. 研究業績リスト
  3. これまでの研究あるいは業務の概要を記した文書(A4原稿1〜2枚程度)
  4. 推薦状2通

※ 応募書類は返送いたしませんので、あしからずご了承ください。

 

■選考方法

書類審査の後、必要に応じてプレゼンテーションと面接を行っていただきます。

 

■着任時期

できるだけ早い時期(時期は相談に応じます)。

 

■応募締切

募集定員になり次第締め切ります。

 

■問合せ先・書類提出先

応募書類は電子メールまたは郵送にてご送付ください。

〒619-0288

京都府相楽郡精華町光台2-2-2

株式会社 国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所

認知機構研究所 数理知能研究室 研究員募集係

Email: ncd-info (@) atr.jp

 

■個人情報について

当社では、頂いた個人情報につきまして、適性に管理を行い、採用目的のみに使用いたします。