受賞報告
- 2024/1/11 岡本尚之学外実習生が「脳と心のメカニズム冬のワークショップ2024」でポスター賞を受賞しました
表彰元:脳と心のメカニズムワークショップ
受賞対象:How do humans estimate action-outcome relations in an uncertain environment?
内容:不確かな環境で自身の振る舞いを評価するには,得た結果が自分の行動によって引き起こされたのか否かを正しく判断することが重要である.ヒトがどのようにそれを推定しているのかを知るために新しい行動実験を提案し,主観的信頼性に基づく重みづけ誤差累積によって行動からの結果の予測性を評価していることを示した.
概要:「脳と心のメカニズム」冬のワークショップ2024のポスター発表から若手を対象とした優れたポスター発表を表彰
研究資金:ERATO池谷脳AI融合プロジェクト
- 2022/3/14 Aurelio Cortese副室長、川人 光男 脳情報研究所所長らの執筆論文が第 37 回電気通信普及財団賞(テレコム学際研究賞 奨励賞) を受賞しました
表彰元:公益財団法人電気通信普及財団
受賞対象:Unconscious Reinforcement Learning of Hidden Brain States Supported by Confidence
内容:受賞論文では、ヒトが脳内の意識下の情報を戦略的に利用するため訓練することが可能か検証をおこなった。非常に複雑な課題解決のための学習能力は、メタ認知に支えられていることを示し、また「次元の呪い」を解くための前頭葉の神経メカニズムを明らかにした。この発見は神経科学に基づくAIを開発の新しい出発点となる。
概要:情報通信に関する人文学・社会科学分野と技術分野の両分野にわたるすぐれた研究論文等を表彰
テーマ:ERATO池谷脳AI融合プロジェクト/脳科学とAI技術に基づく脳神経疾患の診断とその応用
受賞コメント:こちら
- 2021/9/21 茂木智和研究員が、第117回日本精神神経学術総会優秀発表賞を受賞しました
表彰元:公益財団法人日本精神神経学会
受賞対象:メランコリー型うつ病バイオマーカーを対象とした結合ニューロフィードバック:抑うつ・反芻症状の改善
内容:うつ病傾向健常者に対し、メランコリー型うつ病を対象として作成されたバイオマーカーを適用し、結合ニューロフィードバックを実施した。対象結合に関連する症状(抑うつ・反芻症状)が軽減され、対象機能結合の健常方向への変化と症状スコアの軽減に相関を認めた。加えて、長期効果・再現性を確認した。
概要:第117回日本精神神経学会学術総会において特に優秀な研究発表をおこなった者に贈られる
研究資金:AMED戦略的国際脳科学研究推進プログラム
テーマ:脳科学とAI技術に基づく精神神経疾患の診断と治療技術開発とその応用
- 2021/6/10 Aurelio Cortese副室長が、2021年度 日本神経科学学会奨励賞を受賞しました
表彰元:日本神経科学学会
受賞対象:Metacognition, confidence and the brain’s ability to learn from a small sample.
内容:推論とメタ認知の観点から、先進的ニューロイメージングを用い適応的な行動の神経計算上の基礎を研究し、メタ認知が特定の前頭頭頂神経回路で計算され、確信度が複雑な問題解決のための強化学習プロセスをどのように補強するかを実証した。さらにデコーディッドニューロフィードバックを不安障害の臨床応用へ展開した。
概要:学位取得後10年以内の若手研究者を対象とし、将来神経科学分野での活躍が期待される会員におくられる。
テーマ:ERATO池谷脳AI融合プロジェクト
受賞コメント:こちら
- 2018/9/24 渡邊武郎招聘客員室長が、日本心理学会国際賞特別賞を授賞しました
ブラウン大学終身栄誉学部長、ATRの客員招聘室長である渡邊武郎先生が、日本心理学会国際賞特別賞を授賞しました。授賞式は、日本心理学会第82回大会の前日2018年9月24日に行われるプレスコンベンション学術交流会において、国際賞特別賞受賞講演は日本心理学会大会において2018年9月27日に行われました。日本心理学会国際賞は国際的に特段に優れた業績をあげ、日本の心理学の発展に寄与された心理学者に与えられるもので、国内の心理学界において最も栄誉ある賞です。歴代の受賞者を見ても、世界を代表する日本の心理学者が並んでいます。
この機会に、渡邊教授のこれまでの研究成果をご紹介したい思います。
渡邊武郞教授は、学生の頃から、国際誌に論文を掲載し、世界にその名前を馳せてきました。専門は、知覚学習であり、世界をリードする業績を出し続けてきました。渡邊教授がこれまでの研究業績である124本の論文の中で、3本のNature、2本のScienceを含め、37本がハイインパクト雑誌であり、これは世界の心理学者で数人しか達成していない特筆すべき快挙です。
その中でも、心理学への大きな貢献の一つとして、知覚学習を知覚心理学の根幹の研究分野としたことを挙げたいと思います。2001、2003年には、ともにNature誌において、 閾値下の刺激を受動的に提示するだけで知覚学習が起こることを世界で初めて示しました。この研究以降、知覚学習に関する論文数は飛躍的に増大し、同研究分野に大きな影響を与えました。2009年に、動物の学習においては極めて重要であるにもかかわらず、ヒトの知覚研究において顧みられなかった報酬の効果が、知覚学習に決定的な役割をすることを発見しました。この研究は、人間の知覚研究においてシステマティックに報酬の役割を示した初めての論文と考えられており、その後多くの研究者が、報酬の知覚過程全般に及ぼす効果について研究するようになりました。
2016年には、ブラウン大学佐々木由香准教授(現教授)との共同研究により、知覚学習における睡眠の効果についての研究の一端において、ヒトの睡眠の新しい側面を発見しました。 同論文は社会的影響力を示すaltmetric scoreで、同年世界中で出された全ての生物学系の論文の中で4位、全ての科学論文のうち27位にランクされるなど、心理学分野を超え、学術界に多大な貢献と影響を与えてきました。
これら一連の研究成果は、ニューヨーク・タイムズ、Times, BBC、ルモンド、フランクフルター アルゲマイネ、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、サイエンティフィックアメリカンをはじめ世界中の新聞やNatureやScience等の多くの科学雑誌でニュースとして取り上げられ、世界中の知るところとなっています。
2012年には、アメリカで最も権威ある大学の一つのブラウン大学の教授として、Graham教授やRiggs教授がディレクターを歴任し、数多くの視覚科学の指導者を輩出した講座を引き継がれ、その後、着任2年にして、所属学部で二人目(一人目は元学長)の 栄誉特別教授/学部長の称号を付与されています。一方で、ATR脳情報通信総合研究所に新たに創設された行動変容室招聘室長を2012年より併任し、また知覚学習における研究によりパリ大学で招聘教授の就任要請を受け、ブラウン大学と兼任し、活躍の場を広げています。
ATRにおいては、2011年に川人らとの共同研究においてDecoded fMRI Neurofeedback(DecNef)を開発し、Science、Current Biologyを初めとするインパクトの高い論文を多数出版しATRの世界的な地位向上に貢献頂きました。今後も、ATRへのさらなるご指導を頂くと共に、楽しく刺激的な共同研究を推進できればと考えております。