視覚像再構成fMRIデータ

このページでは、視覚像再構成の研究で用いられたMATLABコードとfMRIデータをダウンロードすることができます。

概要

視覚像再構成の研究Miyawaki Y et al. (2008): Visual image reconstruction from human brain activity using a combination of multiscale local image decoders. Neuron. Dec 10;60(5):915-29.で用いたfMRIデータを公開しておりますので、どなたでもご自由にダウンロードしてください。

私たちの論文中では、“sparse multinomial logistic regression”と 呼んでおりますカスタムメイドの機械学習アルゴリズムを用いて空間的に多重解像度を持つデコーダを学習させ、それらを簡単な線形モデルに基づいて組み合わ せることで視覚像再構成を行いました。この方法を用いると、ヒトのfMRI活動パターンからそのヒトが見ている画像を非常に高い精度で再構成することがで きます。この方法に基づいて画像再構成を行うためのMATLAB関数をデータと共にこのページで公開していますが、ほかにも、私たちの結果をさらに上回る精度で視覚像再構成が可能な方法があるかもしれません。ぜひ私たちのデータをダウンロードして、 みなさんのアイディアを試してみてください!公開しておりますデータセットは、fMRIの解析で必要な前処理をほとんど済ませたものであり、非常に単純な フォーマットにもとづいたfMRIデータとラベル(この場合は視覚刺激)の組み合わせからなっております。解析にあたって、fMRIの信号に関する詳しい 知識は必要ありません。機械学習には詳しいけれどもfMRIのことは良く知らないという方にとっても簡単にご使用いただけるデータ形式となっておりますの で、ぜひトライしてみてください。 データのフォーマットはMatlab7.4に準拠しています。

デコーダを学習するために私たちが実験で用いた刺激はただのランダム画像であり、ある特定の空間パターンに対してバイアスされているわけではありま せん(論文中Figure 1)。この点においては、ネコやサルを用いた動物実験で視覚野の神経細胞の受容野をホワイトノイズで同定する実験と非常に似ています。よって、視覚像再構 成の目的のほかにも、基礎的なヒト視覚野の反応特性を調べるさまざまな目的に対して私たちのデータは応用可能であると考えています。例えば、ヒト初期視覚 野の受容野同定や、BOLD信号の空間的線形性の検証等にも、私たちのデータは使えるかもしれません。視覚像再構成には興味はないけれども、基礎生理学的 な問いに興味があるという方も、ぜひ私たちのデータダウンロードいただいて、多様な目的に応じてお使いいただければ幸いです。

現在は前処理済みのfMRIデータを公開しているのみですが、ご要望があれば完全な生データをANALYZE形式でお渡しすることも可能です。

更新履歴

2009年8月7日: データを公開を開始

2010年5月15日:各ボクセルのMNI座標データを追加。座標データについての記述をマニュアルに追加。

2012年5月31日:画像再構成のためのMATLAB関数をデータと共に公開。

内容

ダウンロード可能なファイルは、単一のzipファイルです(‘Data_Reconst_Code_public.zip’)。zipファイルを解凍すると、MATLABコード、データファイル、データ構造や再構成方法に関するマニュアルのpdfファイルが得られます。ファイルサイズは全部で約900MBです。データセットは前処理済み (slice timing correction, realignment, coregistration, resliceが適用済み)のランダム画像セッションのfMRI信号(デコーダの学習に必要)と図形画像セッションのfMRI信号(作成した再構成モデル の性能を分かりやすく示すために用いる)を組み合わせた形で保存されています。公開してあるデータは、論文中の被験者S1のものに対応しています。

使用環境

データはMatlab version 7.4に準拠する形で保存されています。このバージョンより新しいMatlabをお使いください。また、MATLABコードを用いて再構成を行うためには、Brain Decoder Toolbox (BDTB) ver. 1.2.2が必要です。BDTBのダウンロードはこちらから。

ダウンロード

ファイルは、データベースサイトbrainliner.jpの、画像再構成プロジェクトページ
http://brainliner.jp/data/brainliner/Visual_Image_Reconstructionからダウンロードしていただけます。
プロジェクトページの、”Supplementary Files”内にあるData_Reconst_Code_public.zipをダウンロードしてください。この1つのzipファイルの中に、fMRIデータ、再構成のためのMATLABコード、およびマニュアルがすべて含まれています。ダウンロードには、ライセンス条項に同意していただく必要があります。

データのご使用に際して

データはご自由にダウンロードのうえ、ご使用ください。私たちのデータを用いて学会、論文発表等をされる場合は、下記の論文を引用くださるようお願いします。著者として私たちのグループの誰かを含める必要はございませんので、どうぞお気軽にデータをご使用ください。

引用文献

Miyawaki Y, Uchida H, Yamashita O, Sato MA, Morito Y, Tanabe HC, Sadato N, Kamitani Y (2008). Visual image reconstruction from human brain activity using a combination of multiscale local image decoders. Neuron. Dec 10;60(5):915-29.

連絡先

コメント、ご質問、ご要望お待ちしております。下記の連絡先までお願いします。

神経情報学研究室

ATR脳情報研究所

〒619-0288京都府相楽郡精華町光台2-2-2
電話: 0774-95-1172, FAX: 0774-95-1172
http://www.atr.jp/index_j.html