名前 深　井　英　和 所属 大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系生物工学分野 e-mail fukai@bpe.es.osaka-u.ac.jp Web site http://www3.bpe.es.osaka-u.ac.jp/~fukai/

プロフィール

メッセージ

神経細胞は脳神経系における情報処理の基本単位です．神経細胞の電気的振舞は その種類や環境によって様々です．私は従来より持っていた神経情報科学への興 味と共に，非線形力学系の分岐理論，および特異点理論における幾何学的な面白 さに興味を持ちました．このため私は現在までに，非線形力学系の分岐理論によ る神経細胞モデルの解析によって，神経細胞が示す多様なダイナミクスを統一的 に理解および解釈するという目的のもと研究を行ってきました．具体的には，非 線形力学系で表されるHodgkin-Huxley方程式を始めとしたイオンチャネル型神経 細胞モデルの簡約化，および，神経細胞のおかれた環境や特性に対応するパラメー タに関する分岐構造解析などを行ってきました．これにより，Hodgkin-Huxley方 程式などの分岐構造の全体像がより明らかになり，神経細胞が示す多様な振舞い のダイナミクスの理解が深まりました．

一方，神経情報処理を理解するために，どのレベルでどのような手法，アプロー チで研究したらよいかということは大変難いと感じます．細分化，専門化しがち な現代の科学の中でも特に神経情報科学の分野は総合的な研究分野であり，私自 身幅広い知見の必要性を常々感じます．今回のサマースクールのテーマは“大脳 皮質の情報表現”ということですが，私は以前より高次の皮質における時空間的 にダイナミカルな情報のコーディングに関して大変興味がありました．特に今回 は理論系，実験系の双方から講師陣，学生が集まることもあり，講義，および様々 な研究分野に携わる若手研究者との盛んな議論，交流に大変期待を寄せています．

私は現在理論的な立場から研究していますが，常々実験系の実際を知る，もしく は実際に携わる必要性を強く感じます．それは，理論に閉じた独り善がりな研究 に陥らぬ為だけでなく，実際に実験することにより始めて得られるであろう新た なアイデアや知見が，新たな理論を展開する上で大変重要であると感じる為です． 今回のサマースクールは，他の理論系の研究についてはもちろん，実験系の研究 者との交流，実際の生のデータを扱ったデータ解析の演習など，実験系の実際に 触れることが出来るまたとないチャンスであると期待しています．

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