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名前 久 保 雅 義
所属 京都大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻
e-mail kubo@i.kyoto-u.ac.jp

プロフィール

[学歴]
平成 5年3月 京都大学理学部卒業
同  7年3月 京都大学大学院理学研究科修士課程数学専攻修了
同  7年3月 授 京都大学修士(理学)
同 9年3月 授 京都大学博士(理学)
[職歴]
平成 7年4月 大阪大学基礎工学部 助手
平成10年4月 京都大学大学院情報学研究科 講師

メッセージ

脳の研究はサイエンスとしてある意味で新しい分野であり特に今回のテーマ である大脳皮質の情報表現は21世紀に向けて積極的にたくさんの異分野の 考え方や方法論導入していかねばならないと思われる。 大脳の情報表現が非常に多数のニューロンの活動によってなされている とすれば(この仮説は明らかであると思われるが)それは ある意味で数学的な大自由度の力学系(或は多重マルコフ過程)として記述する ことが可能である。 そこに最新の医学、生理学の研究によって分かった脳の 構造(神経細胞の種類、性質および神経細胞同士のシナプス結合の局所的形態や 領野同士の大局的な結合など)のなかで、情報処理に本質的に用いられる ものを組み込むことによって、数学的にその力学系を研究することは 非常に重要な意味を持ってくるように思われる。それは数学的に証明される その力学系の性質が大脳皮質に於ける情報表現に本質的に関わってくる 可能性があるからである。実際の脳の実験における観測データから考察して いくことも重要ではあるが、非常に大自由度の力学系である脳の情報処理 の本質をとらえるためには数理科学的手法も不可欠である。 現実問題として大脳皮質のニューロンのスパイクトレインを観測解析 すると、スパイクの発火頻度にのみ情報がのっているという単純な 情報処理の考え方では説明できないような結果が出てきている。 また多数の神経細胞のスパイクの時間的な関係を考慮にいれなけれ ならないとすると、それはまさに数学的力学系の枠組みで考える必要があり、 その力学系から証明される数学的な性質の中に大脳皮質に於ける情報の コーディングの秘密が隠されている可能性がある。 今回のサマースクールでは数学的な考察を用いて、生理学的な実験で分かっている 神経細胞の性質および大脳皮質の構造を理解し、それがどのように (大自由度力学系として)情報処理に関わっているのか、また現在考えられている 情報処理の理論的メカニズムについてその数学的な力学系としての背景を 考察し、実験系と理論系の研究者と深いディスカッションを行いたいと思う。

 


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e-mail: niss99@erato.atr.co.jp
http://www.kawato.jst.go.jp/doya/niss99