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名前 黒 田 真 也
所属 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科細胞内情報
e-mail kuroda@fido.cpmc.columbia.edu

プロフィール

メッセージ

 私は、現在まで生物学、特に分子レベルから細胞レベルへの研究を行ってきた。そ の研究の中で、生物を理解するためには、細胞どうしのinteraction(細胞レベルか ら個体レベル)を理解することが必要であると痛感した。そこで、次の研究分野とし て、細胞どうしのinteractionを研究する分野を探索した結果、脳/神経系を選択す ることにした。その理由は、1)細胞どうしのinteractionを解析する上で、脳/神 経系は複雑ではあるが、重要な問題を比較的捕らえやすいこと、2)実験dataのみな らず、理論的な研究もかなり進んでおり、さまざまアプローチが開発されつつあるこ と、などがあげられる。
 さて、脳の学習などの機能を理解するためには、1)計算理論、2)表現とアルゴ リズム、3)ハードウェアのさまざまなレベルでの解析が必要である。私は、現在ま で分子や細胞を研究してきたが、これは3)のレベルに相当すると考えられる。それ ぞれのレベルはお互いに拘束しており、一つのアプローチだけでは解決が困難であり 、異なったレベルからの視点やアプローチを是非とも取り入れたいと考えていた。し たがって、新たなレベルから問題を捉えなおすため、今回のサマースクールに応募した。
 今回のサマースクールにおける申請者の目的を以下に列挙する。
1)神経情報科学の理論については、素人であるので、まず現在の理論的枠組みの理 解を試みる。
2)計算理論的なレベルから、新たに本質的な問題を捉えなおす。
3)それらの問題を実証するためには、いかなる実験が必要であるかを考える。
4)その実験結果の解釈可能な限界についても考慮する。
 また、私が現在計画している実験について参考までに簡単に記す。 私が現在計画している実験は、遺伝的改変を用いたマウスを用いて、シナプスの長期 的な変化の学習における役割を解析することである。現在までも、同様の方法を用い た解析がなされているが、その多くはシナプスの長期的な変化だけでなくneuronのvi abilityにも影響を与えることや、時間的、空間的に不可逆的な遺伝子発現や遺伝子 破壊を用いているため、シナプスの長期的な変化に対する効果だけを見ているかどう かはかなり疑わしい。そこで、申請者は、時間的、空間的に可逆的で、かつ任意の時 間に遺伝子(変異遺伝子を含む)を発現することのできる実験系を開発する。さらに 、neuronのvialibityにも影響を与えることなく、シナプスの長期的な変化のみを阻 害あるいは、促進させることのできる遺伝的改変を用いたマウスの作成を試みる。こ の系を用いて、小脳を介した運動学習であるVOR (vestibulo ocular reflex)やOKR(O ptokinetic response)をモデルとして、シナプスの長期的な変化(LTDおよびLTP)の 学習における役割を解析する予定である。今回のサマースクールでは、大脳皮質がメ インになると考えられるが、大脳皮質においても、この系を用いて解くことのできる 本質的な問題についても考えたい。
 今回のサマースクールで、違ったbackgroundを持った若手研究者といろんな話しが できることを非常に楽しみにしています。

 


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e-mail: niss99@erato.atr.co.jp
http://www.kawato.jst.go.jp/doya/niss99