"Multiple Minds: Neuroscience of economic decisions"
2006年4月5日 Princeton University, Center for the Study of Brain, Mind & Behavior, Department of Psychology Dr. Samuel M. McClure
質疑応答
問い「論理的な意思決定をする場所が損傷を受けると、その人は非論理的な選択をおこなうのでしょうか」 McClure博士「論理的な意思決定をすると考えられる前頭葉が損傷を受けると、適切な社会的・経済的行動ができなくなるなどの影響が見られます。ただし 経済的選択モデルとの関連はまだ調べられていません」
問い「被験者の行動には差はあるのですか」 McClure博士「被験者の行動には大きな差がありました。今回の実験では被験者間の行動の差には注目していませんが、今後取り組みたい問題です」
問い「衝動的な選択と自制的な選択のどちらのシステムが支配的になるかの割合は、人によっても、また同じ人でも状況や経験によっても変化する可能性があると思いますが、脳の中でどのように調節されていると考えますか」 McClure博士「これら2つのシステムは競合関係にあると考えられます。内側前頭葉にある帯状回がこの競合を調節し、どちらのシステムがより支配的になるかを決定していると考えています。別の実験でこれを支持する結果も得ています」
問い「内側前頭葉の腹側部分が衝動的な選択に関わる場所という結果でしたが、この場所が損傷を受けると衝動的な行動をするというDamasioらの先行研究とはどのような関係にあるのでしょうか」 McClure博士「確かにこれらの結果は正反対のように見えます。おそらく内側前頭葉のうちの一部 (帯状回) が競合にかかわり、ここが損傷を受けると競合システムがうまく働かなくなり、衝動的な行動に陥ることが考えられhます」
関連リンク
「異時点間選択」を用いたニューロエコノミクスに関する論文 (Science)
ペプシとコカ・コーラの比較を用いたニューロマーケティングに関する論文 (Neuron)
What is Neuroeconomics? (by Colin F。Camerer (Caltech))
Neuroeconomics (by Richard L。Peterson)