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セッション1:
経済学

セッション2:
遺伝学

セッション3:
マーケティング

セッション4:
脳と芸術

芸術の脳機構

セッション5:
脳・心を読む方法

パネル討論・総括


岩田 誠
東京女子医科大学

岩田先生は、大脳の前頭部分が絵画や音楽などの芸術的で創造的な仕事をしているということについてお話しされました。

先生は以前から大脳の後ろ側が「正直脳」で前側が「嘘つき脳」ということを述べられています。正直脳で処理された現実の情報やこれまでの記憶を受け取って、嘘つき脳である前頭領域で仮想現実を作りだし、シミュレーションを行っていると考えることができるそうです。

そこで先生はその仮想現実による幻聴や幻覚が、創造的なものに変化するという過去の例を幾つか挙げられました。スメタナやストラヴィンスキー、関根正次といった芸術家が幻聴や幻覚をモチーフとして作品を生み出していたようです。シューマンの場合は幻聴を聞く前に創造した作品と幻聴を聞いて作りあげた作品が同じメロディであり、作品と幻聴は同じ脳から生み出されていると言えそうです。

しかし、すべて幻覚が創造へと繋がるわけではありません。幻覚から創造へは意思によって幻覚を制御するような技術が必要であるようです。

さらに、創造と半球側差および言語との関係を話して頂きました。過去の例から、脳は壊れても創造するようです。さらに、絵を描くときに重要と言われる右半球を損傷しても絵画能力は失われないし、重度失語症でも大丈夫のようですが、創造の様式は変化するようです。

同様に、アルツハイマー病などのDementiaでも芸術活動は続けられますが、作風はより心象的になります。このとき、患者は感覚情報からの評価をできずにワーキングメモリー(作業記憶)が更新されないと考えられ、感覚情報が豊富で評価がしやすいアートはDementiaの治療に有効ではないかと考えられています。

そして最後に先生は脳の後ろ側が現実脳で前側が芸術脳である、と仰って講演を締めくくりました。

岩田誠先生のHP http://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/Daigakuin/field/0407/index.html


Last update: 2007.01.30

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